8月24日付中国新聞社電は、「北京税関は同日、12ブランドの知的財産権を侵害している電子製品5万点を押収したと発表した。北京税関が一度に押収した物品としては、過去最高の数量と金額で、押収品にはノキア・アップル・ソニー製品と偽った携帯電話やMP3プレーヤーなどが含まれており商標権侵害は2,377件だった」と伝えています。 こうした状況の中で、中国政府国務院国家版権局直属の中国版権保護センターが、中国版権ビジネスの総窓口として去年9月に設立した日本法人が『ゴールデンブリッジ株式会社』です。著作権上の“日中の懸け橋”にしたいという強い思いが、社名からも読み取ることができます。中国が海外に著作権保護の出先機関を設けるのは日本が初めてですが、そのきっかけは「ガンダム」でした。バンダイのガンダム・プラモデルは中国でも人気が高く、類似商品を複数の企業が製造販売していましたが、中でも小白龍社は自社商品として意匠権登録をしていたため、通常の法的措置で解決することは非常に困難でした。そこで、中国版権保護センターは知的財産権の意識啓発とともに、「模倣品で短期的に利益を上げるよりも正式な生産パートナーとして長期的利益を上げるべき」という説得を行なった結果、「小白龍社が意匠権を破棄」「小白龍社が所持する金型およびCADデータのバンダイへの引き渡し」などの条件を盛り込んだ調停が締結されました。この難しい交渉を成立させたのが森田さんですが、その背景には中国を知り尽くした彼の多彩な経歴がありました。 森田さんは1971年名古屋市生まれ。93年に創価大学を卒業後、北京大学で学び、97年に旭通信社に入社。人民日報との合弁会社である北京華聞旭通国際広告有限公司で営業部マネージャー、新華社と共同PRとの合弁会社・北京東方三盟公共関係策画有限公司で営業部総監を務めると同時に、2000年に中国社会科学院考古学研究所に日本人としては初の修士課程に入学。 03年にバンダイに入社して「第1回上海キャラクター博覧会」の全体企画から運営までを手掛けた後、CCTV(中国中央電視台)グループ社に出向してライセンス担当副社長として『プロジェクトX』『一休さん』などを放送。07年には、中国版権保護センター外事顧問及び中華版権代理総公司国際業務部部長/動漫遊戯事業部総経理に就任。08年には、中華民族文化促進会(現中華文化促進会)の動画芸術専業委員会・副秘書長に就任。日本企業の中国における知財コンサルティングやコンテンツ交流事業に携わってこられました。