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第45回 I-Media情報バザール |
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日時: |
平成21年11月20日(金) 午後6時00分〜午後8時50分 |
講演: |
『時代をドキュメントする和歌 〜歌会始から選ぶ平成百人一首〜』 |
講師: |
名古屋学芸大学教授 加藤 和郎 氏 |
場所: |
KKR ホテル 東京(旧・竹橋会館) |
和歌は「やまとうた」を漢字表記したもので、漢詩をさす「からうた」に対して案出された言葉です。背後には、日本人が自ずから口ずさんできた伝統の歌を文学として意識し、それを大陸文明に対峙するものとして捉えようとする国風(くにぶり)の精神があったのだと思われます。それは平仮名のなかった奈良時代にすでに万葉集を生んでいることからも立証されます。この万葉集に共通する現代の国家的行事が「宮中歌会始」です。明応10年(1501年)に後柏原天皇が正月の月次歌会を独立した儀式として執り行ったことが歌会始の直接的起源だとされており、明治15年(1882年)には天皇の御製や歌人による詠進歌が新聞などで発表されるようになりました。そして昭和22年からは、国民からも和歌を募集し、在野の著名な歌人に委嘱して選歌されるようになりました。万葉集が天皇から農民までの歌を収めているのと同様に、「歌の前には、すべて平等」が実現したのです。
私は映像で何を伝えるかを主な業務としてきましたが、昭和50年代に何度か宮中歌会始を中継するうちに、和歌の持つ“叙事性”に興味を持つようになりました。和歌というと心の風景が先行しているように思われがちですが、実は、見たことや出会ったこと(叙事)を三十一文字で表現しようと推敲するうちに、思い(抒情)もまた深くなるのではなかろうか。つまり、視点と思点が凝縮しているのが和歌だと思うようになりました。特に万葉集には「みゆ」「みる」の視覚の歌が多いことから、折りに触れて「万葉人は詩人である前にドキュメンタリストである」と言ったり書いたりしていたところ、この春、「平成の歌会始から百人一首を選んで欲しい」との申し出がありました。そこで、調べとか響きなどの文学的な面には触れずに、時代の記録(ドキュメント)としての面からだけで選ぶことを条件に引き受けました。百首は、昭和天皇の喪中のために中止となった元年をのぞく20年間に披講された約600首から、皇室および皇族の15首、召人及び選者の30首、詠進入選者からの55首です。
今後どのような形になるのかは未知数ですが、これらの歌と向かい合ううちに、画面上の映像では表しにくい「“時代”という空気のようなものの確かな記録」に驚かされずにはいられませんでした。フィルムやビデオのように媒体が変化するたびに像の輪郭や色が褪せてしまう近代の記録に対して、万葉集は千年以上も褪せることなく古代人の暮らしや思いをくっきりと伝えていることを考え併せると、歌会始で披講される平成の和歌たちもまた、千年後に向けての貴重なアーカイブの一つになるのではないかと期待してしまいます。
11月12日には天皇陛下御即位二十年を祝う国民祭典が開かれ、「EXILE」が奉祝曲を歌うことが注目されていますが、歌会始の百首から平成20年間を振り返ってみるのもI-media流の奉祝ではなかろうかと思い立ち、司会の分を超えてお話させていただきます。なお、百首の冒頭歌は清子内親王(紀宮)が黒田家に嫁ぐ前に両陛下に贈られた次の一首です。
新しき一日(ひとひ)をけふも重ねたまふ たゆまずましし長き御歩(みあゆ)み
スクリーンのいらない脳内映写会をご一緒にお楽しみ下さい。 |
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タイムテーブル: |
18:00〜18:10 |
オープニング |
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バザールマスター 加藤和郎 |
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18:10〜19:10 |
ゲスト 講演 |
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『時代をドキュメントする和歌 〜歌会始から選ぶ平成百人一首〜』
名古屋学芸大学教授 加藤 和郎 氏 |
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19:20〜20:50 |
情報バザール |
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食事をいただきながらの、気の置けない交流会です。
参加メンバーの紹介を含め、時流に沿った話題や情報など、I-Mediaならではの “おとっときの話”が飛び出します。バザール演出のキイワードは、NHK情報ネットワーク時代の伝統を引き継いで、ますますの「和気藹々」です。 |
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